気象庁は、去年1年間の業務を検証した報告書をまとめ、大津波や豪雨災害などでの課題を踏まえて、避難に結び付きやすい情報の発信を目指すという方針を打ち出しています。
気象庁は、かつて「気象白書」と呼ばれていた1年間の業務の報告書、「気象業務はいま」の今年度版をまとめました。
ことしの報告書は、冒頭に「命を守るための避難と防災情報」という章を設け、去年相次いだ災害での避難の実態や発表した防災情報の内容などを検証しています。
このうち、去年3月の大津波警報については、当初発表した予想される津波の高さの数値がかえって避難の遅れにつながったとして、地震や津波の規模が直ちに判明しない場合は数値を発表せず、避難を促すことに力点を置いた警報に改善することなどが記されています。
また、台風12号で被災した自治体の担当者の声を紹介し、「雨量の予想をみずからのことと受け止められなかった」とか、「台風が遠ざかりつつあるので雨が弱まると思った」などと、結果的に気象庁の情報から危機感が伝わらなかった実態を明らかにしています。
そのうえで、ことしから、数十年に一度という記録的な大雨が降った場合には短い文章で危険性を知らせる取り組みを始めるなど、避難に結び付きやすい、分かりやすい情報の発信に努めるとしています。
気象庁は「災害の犠牲者を減らすため、情報の改善に加え、災害の知識や安全確保の方法などを知ってもらう活動にも力を入れていきたい」と話しています。